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◇295.「土地・建物に特化した財産管理制度」(令和5年4月1日施行) 

 所有者不明または、管理不全状態にある土地、建物は、近隣に危険及び迷惑を発生したり、公共事業や民間取引を阻害したりする等、問題となっていますが、これまでその管理に適した財産管理制度がなく、非効率になりがちでした。
 そこで効率的な管理を実現するため、所有者が不明(所有者不明の定義があります)であったり、所有者による管理が適切にされていない土地、建物を対象に個々の土地、建物に特化した財産管理制度が新設されました。
・調査を尽くしても所有者やその所在を知ることができない土地、建物について利害関係人が地方裁判所に申し立てることによって、その管理を行う管理人を選任してもらうことができます。
・所有者による管理が不適切であることにより、他人の権利、法的利益が侵害されまたはそのおそれがある土地、建物について、利害関係人が地方裁判所に申し立てることによってその管理を行う管理人を選任してもらうことができます。

※管理人には、弁護士、司法書士、土地家屋調査士等の適任者が選任されます。

(所有者不明の土地の定義)
「所有者不明土地法では、相当な努力が払われたと認められるものとして、政令で定める方法により探索を行ってもなおその所有者の全部または一部を確知することができない一筆の土地」
 相当な努力が認められる方法とは下記の①~④の全ての措置をとる方法。
① 土地の登記事項証明書の交付を請求すること。
② 当該土地の占有者その他の土地所有者確知必要情報を保有すると思慮される者に対し当該情報の提供を求めること。
③ ①②により判明した土地の所有者と思慮される者(相続人含む)が記録されている住民基本台帳、戸籍簿等の書類を備えてい  ると思慮される市町村長または登記所登記官に対し、情報の提供を求めること。
④ 所有者と思慮される者に対し、書面の送付または訪問し、土地の所有者を特定するための措置をとること。


         宅地建物取引士 畑田 忠行

◇294.相続登記と住所・氏名変更登記の申請義務化  

2021年 民法と不動産登記法が改正され、不動産を相続した場合や 自らの住所・氏名の変更が
あった場合の登記申請が義務付けられました。

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この法改正による”義務化”は遡及適用、つまり 法律施行前の相続、住所・氏名変更についても
適用されますのでご注意ください。

登記の変更については基本的に司法書士に依頼することが一般的ですが、今回の登記の義務化と
合わせて 申請義務が簡易に履行できるように2つの新制度が新設されます。

・相続人申告登記制度 (相続登記)
・登記官の職権登記制度 (住所氏名変更登記)

なお 相続人申告登記制度につきましては ”相続を知った時から3年以内の登記申請義務”を
果たすことにはなりますが、遺産分割協議成立後3年以内に その内容を踏まえた登記申請が
必要となります。

詳しくは法務局へお問い合わせください。


      ファイナンシャルプランナー
      宅地建物取引士             堀江 秀

◇293.越境した枝の切り取りについて 

●民法改正前
隣地から枝が越境してきている場合、木の所有者に対して切除を請求することはできますが、勝手に切ることはできませんでした。請求に応じてもらえない場合は、裁判を起こして判決が出てから強制執行により枝を切除することになり大変でした。

●民法改正(令和5年4月1日施行)
隣地から枝が越境してきている場合、木の所有者に対して切除を請求することができます。また、次にあてはまる場合は、自分で切除することができるようになりました。
①木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、所有者が相当の期間内に切除しないとき。
②木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
③急迫の事情があるとき。

      宅地建物取引士     龍井 義直

◇292.アスベスト除去等支援事業について  

 建材等に広く使用されてきた石綿(アスベスト)は、肺がんや中皮腫などの原因となります。建築物の解体・改修・リフォームなどの工事の際に工事に従事する方が石綿を吸い込んだり、大気中に石綿が飛散するおそれがあります。
石綿による健康被害を防ぐため、適切な石綿対策を行うことが必要不可欠です。
 富山市では、富山市民間建築物吹付けアスベスト除去等支援事業があります。建築物の壁、柱、天井等に吹付けられたアスベストの飛散による市民の健康被害を予防し、生活環境の保全を図るため、富山市内に存在する民間建築物を対象に、吹付けアスベストの除去等に要する費用の一部を助成します。概要は下記の通りです。
1.対象建築物
富山市内にある民間建築物で、吹付けアスベストが施工されているものの
  うち、分析機関による分析結果がアスベスト含有率0.1%を超えているもの
2.申請できる者
  対象建築物の所有者、管理者等で、市税を滞納していない者
3.補助額
  除去等工事費(消費税抜き)の3分の2とし、上限200万円(千円未満は切り捨て)
4.申請方法
  建築指導課の窓口へ申請書を提出
5.基準
  除去等工事の受託者となる者は、市内に本社、支店、営業所等を有し、アスベスト除去等工事の元請となることができる建設業許可を有していること等、その他いろいろあります。
工事着工前に、手続きが必要です。ご検討の方は事前に富山市建築指導課
(TEL 076-443-2107)にお問い合わせください。

      宅地建物取引士 村田 ちはる

◇291.「品確法」施行からまもなく四半世紀  

2000年4月に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づく住宅性能表示制度がはじまってから早いものでもう23年が過ぎ、まもなく四半世紀になろうとしています。それまで曖昧だった住宅の性能が、10の分野において一定の評価基準が設けられ、その性能が「見える化」されたことは、当時画期的な出来事でした。以後、幾度かの改正を経て今日に至りますが、昨今の世界的な「脱炭素」の流れを受けて、温熱環境の分野においては、進化の加速度が増しているといった印象を受けます。政府による2050年カーボンニュートラル宣言は記憶に新しいところですが、これがアクセルになったことは間違いないでしょう。

2000年当時、この分野の最高等級は、その前年に制定された等級4にあたる次世代省エネルギー基準で、これが長期優良住宅の認定基準とされていました。あれから20年余り、昨年4月ZEH基準である等級5が新設され、10月には等級6及び等級7が新設されました。現在戸建、共同住宅ともに運用が始まっています。また、2025年には等級4が義務化され、等級3以下の住宅は建てられなくなるため、事実上最低限必要な基準へと変わります。経済産業省の目標として、2030年時点でZEHが標準的な住宅となることが掲げられており、多くのハウスメーカーもZEHはもとより、ZEH+、HEAT20といったより高水準の基準で商品開発をすすめています。今後この分野においての住宅の高性能化がより進み世界水準に近づくものと考えられます。

中古住宅の市場においても、大手不動産情報サイトでは「長期優良住宅」と並んで「低炭素住宅」といった検索キーワードがすでに登場していますし、耐震基準適合証明書や性能評価書の有無、インスペクションの実施の有無などのチェックボックスもみられます。中古住宅も性能評価書で選ぶ時代が間もなく来るのかもしれません。

       宅地建物取引士 猟山 勝

◇290.コンクリートブロック造の塀に【控え壁】はありますか? 

控え壁と言われてもすぐにピンとこない方が多いと思います。
控え壁がどんなものかと申しますと石、ブロック、煉瓦などを積み上げて作った壁の横からの圧力に対する抗力を補強する目的で、壁面に対して直角に設ける突き出した補強壁のことです。
建築基準法施行令第62条の8にも長さ3.4メートル以下ごとに、径9ミリメートル以上の鉄筋を配置した控え壁で基礎の部分において壁面から高さの5分の1以上直角に突き出したものを設けることと定められております。
塀の長さが3.4メートル以上あるのに控え壁のないコンクリートブロック塀を見つけたとしてもそれが即法令に違反した建築物であるかというとそうではなく、ブロック塀の高さ(2.2m)や控え壁の設置を決めた改正建築基準法が制定された1981年以前につくられ、現在の基準に満たないまま放置されている既存不適格建築物である可能性もあります。
既存不適格建築物は違反にはならず、原則そのままの状態での存在が認められますが、大きな地震などによる倒壊事故が起こる前に対策をした方が良いでしょう。
ひび割れや傾きが無いか、高さが2.2メートル以下かという点については誰にでも点検できますが、基礎の根入れ深さや鉄筋の有無などは専門家に相談しましょう。
日本建築学会の調査によるとブロック塀の耐久年数は約30年だそうです。但しこれは塗装などしっかりとメンテナンスを行った塀の場合で、何もしていない塀はモルタルやブロックが中性化し劣化している危険性があります。注意しましょう。

       宅地建物取引士 豊田 唯志

◇289.給湯器凍結への予防方法と対処方法 

今年の冬は10年に一度と言われる寒波に見舞われる日もありました。
そんな日には私共が管理している賃貸物件の入居者様よりお湯が使えないとの連絡が何件かありました。
原因は給湯器が建物の外に設置してありその給湯器近くの配管で水が凍結していたことでした。
今回は給湯器や給湯器近くの配管の凍結を予防する方法や凍結した際の対処方法を説明させていただきます。

【凍結を予防する方法】
◆給湯器の電源プラグを差したままにしておく
給湯器の中には凍結予防用のヒーターが内蔵されており、一定の気温まで下がると動作するようになっていますので電源プラグがきちんと差さっているか確認をしてください。
◆給湯器の運転スイッチを「切」にして、給湯栓より少量の水を流したままにしておく
水を流し続けることによって凍結を予防することができます。また水を流している際に給湯器が燃焼運転する可能性があるので運転スイッチを「切」にする必要があります。
◆給湯器の水抜き栓や給水元栓の保温を行う
給湯器の水抜き栓や給水元栓は保温材で覆われていないことが多いので凍結する可能性が高くなっています。その部分にタオルなどを巻くことによって凍結を予防することができます。

【凍結した際の対処方法】
自然に解凍するまで待つことが一番安全なのですがすぐに給湯器を使用したい場合は以下の手順で解凍を行ってください
1.給湯器の運転スイッチを「切」にしてください。
2.凍結していそうな配管部分へタオルなどの布を巻き、30℃~40℃程のぬるま湯をゆっくりかけてください。(熱湯をかけると配管などが破裂する可能性がありますので熱湯は使用しないでください。)
3.解凍されてお湯が出た際は、給湯器やその配管で水漏れがないか確認を行ってください。

給湯器や配管に破損による水漏れが見られる場合、ガス会社などへのご連絡をお願い致します。

       宅地建物取引士   坂林 文雄

◇288.賃貸住宅の「原状回復」トラブルにご注意! 

 全国の消費生活センターには、毎年3万件を超える賃貸住宅に関する相談が寄せられていますが、原状回復に関する相談が約4割を占めているそうです。

アパートやマンション、貸家等の賃貸住宅に住まいを始めてから、いつか出ていく時に必ず原状回復義務が発生します。

国土交通省では平成10年3月より、原状回復ガイドラインとして一般的な基準を取りまとめており、平成16年2月及び平成23年8月に一部改訂を行っています。また、令和2年4月に改正された民法でも第621条に明文化されました。
 
 原状回復の一般的なルールとして「通常損耗」、「経年変化」、「借主に責任がない損傷」は原状回復義務に含まないとされています。

 とはいえ、退去時に思いもよらない費用請求をされたという方もいらっしゃるかもしれません。以下には特に賃借人(入居者)の負担になりやすいケースを記載しましたので、参考にしていただければと思います。

 ・入退去における引越作業でついた床や壁の引っかき傷
 ・水まわりや窓、サッシまわりで結露を放置したことにより拡大したカビ、シミ汚れ
 ・畳や床フローリング、壁クロスへの落書き
 ・台所まわりの油汚れ、タバコのヤニ汚れや臭い
 ・壁、柱等へのネジ穴、くぎ穴
 ・鍵の紛失
 ・飼育しているペットによる壁や床等の傷

 これ以外にも様々なことがありますが、突発的に転んでついた傷などは入居時に加入する火災保険等(住宅総合保険)で補償される場合もあります。
 また、通常の生活をしていても物件によっては結露によるカビやシミ汚れが発生することがあるかもしれません。しかしカビやシミ汚れを放置して拡大すると賃借人(入居者)の負担になる可能性が高いので日ごろからのお部屋の換気や掃除によって予防することが大切だと思います。

       宅地建物取引士   堀 大吾

◇287.不動産の表示について 

2022年9月1日に改正された「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」、「表示規約施行規則」でいくつかの表示について規制が設けられました。

まずは、距離表示ついてご説明します。

●出入口が起点に
 これまでは出入口の起点に決まりはなく、敷地内の出入口(一番近いところ)などを起点として計測していたケースがあったかと思います。
 しかし、今回の改正によってそれぞれ建物の出入口からを起点とすることに変更になりました。
  例)マンションのエントランス ⇔ 駅舎の出入口

 また、複数の建物や出入口がある場合は、それぞれの出入口を起点して表示しなければならなくなりました。
 分譲地の場合は、一番近い区画と最も遠い区画の距離を表示しなければなりません。

次は緩和された規定についてご説明します。

●緩和された規定
 「名称」使用
 物件が海(海岸)、湖沼、河川の岸若しくは堤防から直線で300m以内であれば、これらの名称も使用できることとなりました。
 街道の名称は、物件に面していないと使用できないこととしていましたが、直線で50m以内であれば使用できることとなりました。
 例)コーポ花水木通り など

 「徒歩所要時間」の表示を追加
 「物件からの道路距離を記載すること」としていましたが、これに加えて徒歩所要時間の表示も認められました。
 
 「小学校まで500m」
 「○○駅まで徒歩10分」
 「スーパー〇〇まで400m(徒歩5分)」 など   ※80m/分

目的地も建物出入口とされているので、より消費者目線であると考えます。
今後は「名称」使用の緩和によって、その地域独特の素敵な名前のマンション・アパートが増えるかもしれません。


        賃貸不動産経営管理士
        宅地建物取引士 佐竹 直美

◇286.不動産業者からマイナンバーの提供を求められたら 

個人の方が、「法人または不動産業者である個人」へ不動産を売却し、年間100万円を超える取引をおこなった場合、または、「法人又は不動産業者である個人」に賃貸し、年間15万円を超える賃料などを受け取っている場合、その買主あるいは借主へマイナンバーの提供が必要です。

買主あるいは借主である「法人または不動産業者である個人」は、税務署へ「不動産等の譲受けの対価の支払調書」や「不動産の使用料等の支払調書」などの法定調書を提出する際に、不動産の売主あるいは貸主のマイナンバーを記載することが義務付けられているからです。

不動産業者から「マイナンバーを教えてください」と言われ驚かれるかもしれませんが、税務署へ提出の義務がありますので、ご協力をお願いいたします。

法定調書についてご不明な点は、最寄りの税務署にお尋ねください。
マイナンバーの提供についてご不明な点は、デジタル庁マイナンバー総合フリーダイヤル0120-95-0178までお問い合わせください。

        宅地建物取引士  中村 麻子